歌川広重「墨堤二美人逍遙図」
歌川広重
墨堤二美人逍遙図
「墨堤二美人逍遙図」
一幅 絹本着色 100.8×41.3
安政元〜5年(1854〜58)頃
桜の名所として名高い隅田川の墨堤を描く。舟で対岸から渡って来たのか、芸者と思われる2人の美人が堤に登ってくる。
美人の後ろに描かれた桜の枝にはすでに葉が茂り、実らしきものまで見える。おそらく季節は初夏であろう。遠景には隅田川が雄大な流れを見せ、右手には隅田川神社周辺に広がる「水神の森」を、左手には遙か遠くに筑波山を望むことができる。
水面を淡く着色し、人物以外のモチーフを墨一色に抑えているのは夕暮れ時の表現だろうか。
美人だけに色を差すことで艶やかな雰囲気がより一層引き立つ作品。